「大それ山が」
伊豆の「軽野神社」についてネットで調べていたら、伊豆では昔、焼畑を「オウソリ」と言ったという記事を見た。
【そり】:「そり」とは「焼き畑」を意味した。柳田邦男の「地名の研究」によると、「そり」「そうり」は焼き畑を林に戻した所の意味。【参考:雪車】
それで忘れかけていた子供の頃、母や祖母から聞かされた昔話「大それ山が」を思い出した。
母は交通事故で頭を打ち、認知症になってしまったので、母に確認出来ないのだが、昔話の収集をしていた従兄弟の関係で、母や亡くなった従姉妹などの肉声の昔話集が、キングレコードから出ていたのを思い出した。
【昔話ふるさとへの旅~静岡 [廃盤] キングレコード】
これも現在では廃盤になっているらしいが、探したら家に1枚だけあった。
全17話の8番目に「大それ山が」として収録されている。
話の概要は、
昔々、お殿様が狩りに出かけ、山奥の「大それ山が」に泊まることになった。
お殿様が「今宵はロウソクで食べたいものじゃ」と言うのを聞いて、ロウソクを知らない村人たちは大弱り。
ただ一人ロウソクを知っていた村の物知りの発案で、里からロウソクを買って来て火を灯し、垂れた蝋をお殿様に勧めたそうだ。
更に私のおぼろげな記憶では、
・「大それ山が」の具体的な場所については聞いていない。
・「大それ山が」では食後、使った箸を障子に刺しておく。
・「大それ山が」では、トイレの紙の代わりに、縄でお尻をしごく。
要するに、伊豆の山奥の住人から見ても、非常に原始的で浮世離れした生活だったということらしい。