田京・広瀬神社
母が回復の見込みのない交通事故の後遺症に倒れて3年余、いよいよ無人の実家も取り壊すしかなくなった。
そのせいか、実家周辺の様々なことが思い出される。
祖母は田京の古い神社の生まれだったので、母はもちろん私も幼い頃、祖母の寝物語を聞かせてもらった思い出があるが、大人になって本を読むようになり、祖母のお話のネタが、古事記や平家物語、伊勢物語などの古典だったことを知った。
何でも祖母の父の神主さんは、いわゆる国学者だったらしい。
母の実家との交渉さえ、殆どなくなっている私なので、祖母の実家とは幼い頃から交渉はなく、神社を訪ねたこともなかった。
それが故郷との縁が切れかけている今になって、なぜかその古社のことまでが懐かしいような気分になっている。
祖母の実家は式内社とかで、起源は不明ながら天平時代(729ー749)らしいという。
三島大社の前身だったとの伝えもあるが、その辺の事情はややこしくてよく理解できない。
1590年、秀吉の小田原攻めの余波を被って焼失。1596年に再建。
社殿ではないが、足利時代からの住宅を、明治5年に横浜の料亭に売却し、現在もその600年前の建物は使用されているらしい。
・横浜 隣花苑 : http://www.rinkaen.jp
数年前、実家で一人で新年を迎えた時、母を見舞いに来た弟と一緒に、初めて祖母の神社に初詣をしたが、神さびたというよりは寂れ荒んだ印象が強くて失望した。
古さを有り難がるのは、縁の遠い私だからなのかも知れない。